【書評】逝く人を支える|ケアの専門職として人生の最終章に寄り添う

あなたは家族や友人など、大切な人を失った経験がありますか?

あると答えた方。
お辛い経験をされましたね。

亡くなられたご本人もあなたも、満足した最期を迎えられましたか?

私は半年前(2021年7月)に夫を亡くしました。

決して満足した最期ではありませんでした。
今でも「あの時ああすればよかった。」という後悔の気持ちでいっぱいです。

「亡くなる前にどうしたらよかったんだろう…。」
そんな気持ちでこの本を手に取りました。

「死」は全ての人に訪れます。

ご本人も周囲の人も満足した最期を迎えるにはどうしたらいいか、満足しなかったとしても後悔をできるだけ小さくするにはどうしたらいいか、考える機会になればと思います。

この記事で分かること

ご本人も周囲の人も満足した最期を迎えるには、どうしたらいいかが分かります。

目次

グッときたところベスト3

1位 小さな満足を積み重ねる

「日々に満足していない人が最期の時に満足して逝くことはない」ということです。
ですから、ケア職が目標として心に留めておいてほしいことは、「小さな満足を積み重ねてもらおう」ということではないでしょうか。

逝く人を支える 著:玉置妙憂

最期の日がいつやって来るのか、誰にも分かりません。

私の夫は突然逝ってしまいました。
まさか、会えなくなってしまうとは思いませんでした。

普段からどこに行くのも一緒で、よく話し、よく笑いました。

でもよりによって最期の日に、私は夫にグチを言ってしまったのです。
今でも夫の困った顔は忘れられません。

私にグチを言われた夫の最期は、満足したものだったとは思えません。

あなたには、こんな後悔をさせたくないのです。

だから、最期の日がいつ来てもいいように、普段から小さな満足を積み重ねていきませんか?

2位 二利(にり)を回す

逝く人を支えるためのよいケアを続けるには、まずは自利(じり)を満たしましょう。
自利を満たしたうえでケアを行えば二利(にり)が回り、皆さんの心の泉を枯れることがないはずです。

逝く人を支える 著:玉置妙憂

自利とは、自分の利益のことです。
二利とは、自分と他者の利益のことです。
自分を満たしたうえでケアを行えば、自分と他者の双方が満たされるという事です。

あなたは、つい自分のことを後回しにして、家族のために頑張っていませんか?

家族のために頑張るのは、悪いことではありません。

でも、「やってあげてるのに…。」
そんな気持ちになっていませんか?

「やってあげてるのに…。」はまさに私の事なんです。
夫の具合が悪かったので、自分の事を後回しにして夫の世話を焼いていました。
世話を焼いている自分に酔っていたのかもしれません。
そんな毎日が続き、ついグチを言ってしまったら、その日に夫は旅立ってしまいました。

コーヒーを飲みに行くなり、散歩に行くなり、気分転換して自分を満たしていれば、夫にグチなんて言わなくて済んだかもしれない…と、悔やんでも悔やみきれません。

3位 セルフ・リカバリー

自分で自分を満たす方法を30個持つ。

それがセルフ・リカバリーのコツ

逝く人を支える 著:玉置妙憂

療養生活には終わりが見えません。

私も「夫の病気は本当に治るんだろうか?」と不安な毎日でした。

治療は長期戦です。

治療が長引けば、ご本人はもちろん、ご家族や周囲の人にも大変なストレスです。

共倒れにならないために、休み休み戦いましょう。

どんな人にオススメなのか

「死」は全ての人に訪れます。

突然に。

亡くなってから後悔しないために、元気なうちに皆さんに読んでいただきたいです。

まとめ

自分の寿命がいつ終わるか、分かる人はいません。

「死」は私たち全員に訪れます。

会えなくなってから後悔しても遅いんです。

後悔しないために、自分の機嫌は自分で取りながら、日々満足して過ごせるように生きていきましょう。


目次・著者のプロフィール・本の詳細

目次

序章 看取りに向き合うための13の戒め

第1章 多死時代を前にして

第2章 夫の看取りで学んだこと〜私の体験〜

第3章 死と向き合えるケア職になるために〜自己研鑽とセルフ・リカバリー〜

第4章 スピリチュアルペインに寄り添う

第5章 ケアの専門職として、逝く人を支える〜本人・家族の支え方を多職種連携〜

おわりに〜二利を回す〜

著者のプロフィール

玉置妙憂(たまおき みょうゆう)

看護師・看護教員・ケアマネジャー・僧侶。
東京都中野区生まれ。専修大学法学部卒業。夫の「自然死」という死にざまがあまりにも美しかったことから開眼し出家。高野山真言宗にて修行を積み僧侶となる。現在は「非営利型一般社団法人大慈」を設立し、終末期からひきこもり、不登校、子育て、希死念慮、自死ご遺族まで幅広く対象としてスピリチュアルケア活動を実施している。また、子世代が「親の介護と看取り」について学ぶ「養老指南塾」や、看護師、ケアマネジャー、介護士、僧侶をはじめスピリチュアルケアに興味のある人が学ぶ「訪問スピリチュアル専門講座」等を開催。さらに、講演会やシンポジウムなど幅広く活動している。
著書に、「まずは、あなたのコップを満たしましょう」(飛鳥新社)、「困ったら、やめる。迷ったら、離れる。」(大和出版)、「死にゆく人の心に寄り添う」(光文社新書)、「頑張りすぎない練習」(マガジンハウス)、「大切な人の命の終わりにどうかかわるか ただ寄り添う。」(主婦の友社)、「死にゆく人の身体と心に起こること」(宝島社)、「最期の対話をするために」(KADOKAWA)などがある。ラジオニッポン放送「テレフォン人生相談」パーソナリティ。大慈学苑ホームページhttps://myoyu.net

本の詳細

2020年7月10日 電子版発行

著者:玉置妙憂
発行者:荘村明彦
発行所:中央法規出版株式会社

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この記事を書いた人

35歳で看護師を志して、36歳で看護学校に入学。
40歳で看護師になりました。
看護師歴約10年です。
看護学生時代にうつ病になり、約10年闘病しました。
病棟経験はほとんどありませんが、糖尿病クリニックで働きながら糖尿病療養指導士の資格習得を目指して勉強中。
2021年に夫が永眠し、グリーフケアの勉強も始めました。
茶トラくんと三毛猫ちゃんの兄妹(4歳)と一緒に暮らしています。

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