採血して、スピッツを振ったら怒られたよ…。
どうすれば良かったの?
採血後のスピッツ、左右に振ったり、上下に振ったりしていませんか?
人によって、どうしているのか違ったりして、戸惑いますよね。
どうしようか迷っていると、「遅い!」なんて怒られたり…。
遅いと言われても、正しい採血データを出すためには、やる事があります!
正しい検査データを出す為に、採血後のスピッツをどうすればいいのか、現役看護師の糖子がご説明します!
採血後のスピッツは振らない!
スピッツを振るのは、ダメです!
理由その1;溶血させない
スピッツを振らない理由は、溶血を防ぐためです。
上下左右に10秒振っただけでも、溶血して、KやLD、ASTが上昇します。
理由その2;血液に、スピッツ内の薬剤を溶解させる
静電気の影響で、スピッツの上部や横に、顆粒がくっついている事もあります。
振るだけでは、薬剤が血液に溶解しない恐れがあるのです。
溶解しないと、血算では凝固、血糖では解糖が進んでしまうなど、採血データに影響が出てくる恐れがあります。
採血後は、転倒混和します!
採血後のスピッツを振らないのは分かったけど、じゃあ、どうすればいいの?
転倒混和します!
正しい転倒混和の方法
正しい転倒混和の方法は、
スピッツの上部を持ち、上下を5回反転させる、です。
注意点は、
- 反転させたら、1拍置く
- 血糖のスピッツは10回反転させる です。
なんで血糖だけ10回振るの?
血糖のスピッツは、中の粉が溶けにくいからだよ。
何で転倒混和が必要なの?
スピッツの中には、顆粒やフィルムコート・溶液などが入っています。
こんな感じです。
中身の役割は、凝固を促進したり、凝固を防いだり、糖の分解を防いだり、それぞれです。
中身は、血液とちゃんと混ざらないと、その役割を果たせません。
役割が果たせなければ、正しい検査データが得られないですよね。
生化も転倒混和するの?
生化も転倒混和します!
生化のスピッツには、凝固促進剤が入っています。
血液を均一に凝固させるためには、促進剤を均一に拡散させないといけません。
なので、生化も転倒混和が必要です。
転倒混和すると、凝固促進剤が均一に拡散するので、均一に凝固します。
でも、転倒混和しないと、凝固促進剤が不均一に拡散します。
=中央部に凝固の遅れが出て、均一に凝固しません。
標準採血ガイドにも
血液が抗凝固剤や凝固促進剤と完全に混和されるように、5回以上確実に行う
2019年3月 標準採血ガイドライン(GP4-A3)より引用
とあります。
なので、生化も転倒混和します!
まとめ;採血したスピッツは振らないで、転倒混和する
採血後のスピッツは、振らずに、転倒混和します。
正しい転倒混和の方法は
スピッツの上部を持ち、上下を5回反転させます。
転倒混和する根拠は
血液と、スピッツの中の薬剤を速やかに、均一に混ぜる為です。
上下左右に振ると、溶血したり、正しい採血データが得られなかったりする恐れがあります。
明日からは、正々堂々と転倒混和しましょう!