今日、患者さんの血糖値が46だったの。
血糖値が低かったから慌てちゃって…。
血糖値46は、ちょっとびっくりするね。
血糖値が70mg/dl以下だと低血糖、と言います。
低血糖を放置すれば、最悪の場合命に関わるので、すばやい対応が必要です。
低血糖の症状には以下のようなものがあります。
病院やクリニックによって、低血糖の対応は変わります。
ぜひ、ご自身の勤務先での対応を確認してみてくださいね。
今日は、とうこの勤務先の対応をご紹介します。
まず、再検査
血糖値が低いと慌てちゃう…。
でも、低血糖だったら、とりあえずブドウ糖を舐めてもらえばいいんだよね?
慌てる気持ちはよく分かるよ。
でも、ブドウ糖を舐めてもらう前に、確認することがあるの。
その血糖値、本当に正しいのかな?
まず血糖値が正しいか、疑ってみてください。
血算のスピッツで測定したなら、採血後の転倒混和が不十分だったのかもしれません。
私の勤務先では、血糖値が70mg/dl 以下の時は、もう1回検査機にかけます。
刺し直さなくていいよ。
採ってあるスピッツを、もう1回検査機にかけてね。
再検している間に、患者さんに確認する
再検している間に患者さんに確認することは以下の5点です。
・自覚症状の有無(下記参照)
・直近の食事の時間と内容
・直近の運動の時間と内容(病院まで20分歩いてきたなど)
・sick day?体調の確認
・処方薬の確認(SU薬・インスリンの有無)
低血糖の自覚症状は、
は…腹が減る
ひ…冷や汗
ふ…手足の震え
へ…変にドキドキ(動悸)
ほ…放っておくと昏睡
SU薬(スルホニル尿素薬)には以下のものがあります。
・グリベンクラミド(オイグルコン・ダオニール)
・グリクラジド(グリミクロン)
・グリメピリド(アマリール)
・グリクロピラミド(デアメリンS)
SU薬・インスリンが処方されていたら
SU薬(スルホニル尿素薬)・インスリンが処方されている患者さんは低血糖のリスクが高いので、自覚症状がなくてもブドウ糖を10g舐めてもらいます。
ここで注意点です!
ブドウ糖を舐めずに、持参の飴を舐めようとする患者さんもいるかもしれません。
でもブドウ糖以外の糖類は、血糖値が上がるのもゆっくりです。
ブドウ糖があるなら、ブドウ糖を舐めてもらいましょう。
また、αグルコシダーゼ阻害薬を飲んでいる患者さんは、薬の作用で砂糖の吸収が遅いので、ブドウ糖を舐めてもらって下さいね。
再検しても、血糖値が70mg/dl 以下だったら
自覚症状がなければ、医師に報告し、指示を仰ぎます。
自覚症状があればブドウ糖を10g舐めてもらいます。
ブドウ糖を舐めて15分経っても自覚症状が消失しなければ、もう1回ブドウ糖を10g舐めてもらいます。
医師に報告することは、
・1回目と2回目の血糖値
・自覚症状の有無
・直近の食事の時間と内容
・直近の運動の時間と内容
・sick day?(体調)
・処方薬の内容(SU薬、インスリンの有無)
最後に、記録も忘れずに!
低血糖の対応のまとめ
1)再検
2)自覚症状の有無や食事の時間などを聞き、処方薬を確認する
3)自覚症状がある患者さんや、SU薬・インスリンが処方されている患者さんにはブドウ糖を10g舐めてもらう
4)医師へ報告
5)記録
ブドウ糖以外の対応
今回の記事では、クリニックの外来の対応について説明しました。
外来なので、経口摂取が可能な患者さんを想定しています。
また、私の勤務先ではブドウ糖で対応しますが、ブドウ糖を含む飲料を150〜200ml飲んでもらうという方法もあります。
砂糖を使用する場合は、ブドウ糖の倍、つまり20g飲んでもらわないといけません。
また、砂糖はブドウ糖よりも効くのが遅いです。
さらに、αグルコシダーゼ阻害薬は砂糖の分解・吸収を遅くする薬なので、αグルコシダーゼ阻害薬を飲んでいる患者さんにはブドウ糖を舐めてもらいます。
経口摂取が不可能な場合は、
・グルカゴンを筋注
・ブドウ糖を少しの水ではちみつ状に練り、口唇と歯茎に塗る
・50%ブドウ糖注射液を20ml静注
という方法がありますので、医師の指示を仰いで下さい。
どの場合でも、15分後に血糖を測定するか、低血糖症状が改善したことを確認して下さいね。