採血する時、どのスピッツから入れればいいんだっけ?
生化・血算・凝固…
スピッツが複数あると、一瞬迷ったりしませんか?
分注する順番を、現役看護師のとうこが、根拠付きで説明します!
先輩に突っ込まれた時に、さらっと根拠まで答えられるようになりますよ。
真空管にスピッツを入れる順番
真空管採血の順番
さて、真空管の時のスピッツの順番です。
- 生化(当院では茶色)
- 凝固( 黒)
- 血算( 紫)
- 血糖( 灰)
覚え方
語呂合わせです。
しんちゃん、クロムハーツ
真空管・茶色・黒・紫・灰色
しんちゃん、クロムハーツ
ここでお詫びがあります。
私、看護師の糖子は、内科のクリニックに勤務しています。
使うスピッツは、ほぼ決まっています。
- 生化(当院では茶色)
- 血算( 紫色)
- 血糖( 灰色)
- 凝固( 黒)
血沈とか…その他使っていないスピッツは、今回は省略させていただきました。
根拠
真空管で採血する時、最初に生化(茶色)にする理由
針で皮膚を刺すと、皮膚を傷つけます。
なので、直ぐに出てきた血液には、傷ついた細胞からの組織液が含まれています。
組織液は凝固の原因になります。
だから、凝固しても検査結果に影響のない、生化(茶色)のスピッツから採ります。
スピッツを見ると、中に何か入ってますよね。
生化(茶色)のスピッツの中身は、凝固促進剤のトロンビンです。
血液を早く固めるために入っています。
スピッツの中身を一覧表にしました。
スピッツの種類 | スピッツの中身 | 中身の役割 | 必要量 |
生化(茶色) | トロンビン | 凝固促進剤 | 3~5㎖ |
凝固(黒) | クエン酸ナトリウム | 抗凝固剤 | 1.8㎖ |
血算(紫) | EDTA | 抗凝固剤 | 2㎖ |
血糖(灰) | フッ化ナトリウム | 解糖阻止剤 | 2㎖ |
凝固促進剤が入っている(=凝固してもいい)のは、生化(茶色)だけです。
なので、真空管採血の時に、最初にホルダーに入れるスピッツは、生化(茶色)なのです。
真空管の採血の時は、生化が最初です。
理由は、凝固してもいいのは、生化だけだからです。
2番目は凝固(黒)
凝固のスピッツをみると、白い線が入ってますよね。
採血量がキッチリ決まっているからです。
1.8㎖です。
それより多くても、少なくてもやり直しです。
スピッツは陰圧なので、採れる量が決まっています。
真空管で、翼状針(トンボ)で採る場合、最初にしてしまうと、チューブに血液が入っている分、足りなくなります。
そして、後回しにして、もし、血液流入が止まったりして、足りなくなったら怖いので、さっさと採ります。
もう一つの理由は、凝固を後回しにすると、PTやAPTTが延長するので、早めに採ります。
残るは、血算・血糖
長時間駆血すると、白血球や血小板が凝集して、低い値になる恐れがあります。
なので、血算を先にします。
血算って、何を調べるの?
赤血球・白血球・血小板の数やヘモグロビンの濃度、ヘマトクリット値などを調べています。
シリンジで分注する順番
順番
シリンジで分注する順番は
- 凝固(当院では黒)
- 血算( 紫)
- 血糖( 灰)
- 血算( 茶)
覚え方
シリンジは、茶色が最後です!!!
根拠
採血してから分注するまでに時間がかかると、血液が凝固します。
凝固するとデータが変わります。
なので、凝固したら困るスピッツ(=抗凝固剤が入っているスピッツ)から分注します。
最後は、凝固してもいいスピッツ(=凝固促進剤の入っているスピッツ)にします。
シリンジ採血の時は、最初に凝固です。
凝固がなければ、血算が最初です。
根拠は、凝固を防ぐためです。
まとめ:分注の順番は、しんちゃんクロムハーツ!
<真空管の時>
しんちゃん、クロムハーツなので、
真空管・茶色・黒・紫・灰色です。
- 生化(茶色)
- 凝固(黒)
- 血算(紫)
- 血糖(灰) です。
<シリンジの時>
しんちゃん、クロムハーツですが、茶色が最後になるので、
黒・紫・灰・茶色です。
- 凝固(黒)
- 血算(紫)
- 血糖(灰色)
- 生化(茶色) です。